2012年8月27日月曜日

井上有一展「月」 KAMIYA ART/かみ屋

三越前駅からお江戸日本橋亭の前を通ってKIWIに行く途中、
かみ屋」という看板を掲げたお店ができました。
と言っても、もう1年くらいは経つでしょうか。

和紙を扱っているお店で、
地下にあるギャラリーでは、
黒田征太郎展などを開催している。
でも、何となく入ることなく、
近いからまた今度、と店の前を素通りしていたのでした。

ところが、ようやく朝晩涼しくなってきたこの晩夏に、
書家の「井上有一展」を開催しているというじゃありませんか(バンカなのにショカ…)。

井上有一と言えば、その代表的な著書、
『日々の絶筆』のカバーにもなった字「貧」!で有名です。
書店でこの本を見たとき、字のセレクトといい、
形といい、ほのかなユーモアを感じて即購入。
本のタイトル通り、書を突き詰め、
書家として世界的に認められた晩年になっても、
小学校の教員を続けていた、その生き方も気になったのでした。
というのも、日本では、作品を売って食べていける人だけが
“プロフェッショナル”のアーティストで、
職業を持ちながら創作活動を続けることを、あまり良しとしないか、
“アマチュア”として認めない傾向があります。
でも、そうではないんじゃないかなと思っているので、
井上有一の存在が印象に残っていたのでした。

井上有一展は、8月30日まで。
これもいい機会だと「KAMIYA ART」の敷居を跨いでみると、
お店の方が地下のギャラリーまで案内してくれました。
作品を観ているあいだ、質問に答えるためか、
作品を守るためか(その両方でしょう)、お店の方が付き添ってくださる。
二人きりの、やや緊迫した空気のなかで観る壮絶な「月」の文字。
薄暗い空間には、井上有一のドキュメンタリー映像が流れ、
気合い十分の顔から発せられる、ストイックな言葉の数々が響き渡ります。
資料も閲覧出来るようになっているのですが、
お店の方が、1階のショップを空けたままになっているのが気になり、
早々においとますることに。
短い時間でしたが、ご近所で本物の「月」が観られたので満足。
1階のショップには、和紙や和紙関連の商品や本も並んでいるので、
KIWIのすぐ近くにある和紙の老舗、小津和紙にご興味のある方は、
こちらにも立ち寄られてはいかがでしょうか。収穫がありそうです。

いまふと思い出しましたが、
お店の入口に掛けてあった巨大な筆(誰が買うのか?と不思議でしたが
あれは井上有一の筆だったのかも。


井上有一展 「月」
2012年8月1日(水)〜8月30日(木)




中央区日本橋室町3−2−8 地下1階
電話 03−3231−2886


(H)

Happiness is always delicious
ギャラリーキッチンKIWI

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